文学研究って何をすればいいのか???

 一応、日本文化学を専攻して文学についての論文で修士号をとった身です。それなりに文学研究みたいなこともやっています。

 修士論の出来は……まあ、なんというかギリギリというか無理やりな感じで修士号を取れたので、本格的な研究者の方から見れば「お前なんかが文学を語るな」と言われてしまうかもしれませんが。

 文学研究と一口に言ってもその内容は様々で、時代で分けても平安文学、江戸文学、近代文学、現代文学などという具合に大雑把な分け方ができます。

 ジャンルというのもありますね。いわゆる「純文学」と「大衆文学」もそうですが、白樺派であるとか無頼派といった”派”による分類、ミステリ小説の変遷やSF小説研究というのもありますね。”萌え”の研究、なんていうのも国文学の雑誌に出ていました。

 

 実は文学研究って、くだけた内容のものもたくさんあります。けれども、どこかお高くとまっている人がいるというのも現実です。というよりは、学問に権威的な匂いがこびりついているのかもしれません。分からない人を下に見るような風潮とでも言えばいいのでしょうか。

 でも文学研究みたいな基礎研究って、もっと間口を広げていていいと思うんですね。世の中のいろいろな文学作品は、見方を変えるとガラリと違う別の魅力を発見できたりするものです。「へーぇ、こんなことに着目すると、こんな繋がりが発見できるんだ!」って。この視点を多くの人に提供するっていうのも文学研究の大事な役割ではないか、と思うのです。

 ちなみに僕は文学作品の中で舞台として登場する”都市”に着目しました。不思議と思えば不思議に見えて来るテーマですよ。どうしてこの町を登場させたのか、その都市である必要があったのか、名前を「K県」とか「Y市」というふうに隠す場合と「神奈川県」や「横浜市」のように明記することに何か違いはあるのか、作品が発表された時点での舞台となった都市の特徴や認知度は? 話題性がなにかあったのか? そういうことを疑問に思って書いた論文でした。

 

 僕は、超情報化社会とも言えるネットワークが発達した現代社会において、人間の関係は現実の枠を飛び越えてネット上で無限の可能性を得ていながらも、実は自分の生まれ育ったもしくは住み慣れた”町”というのがキーワードになってくるのではないかという予感を持っています。何か、そういう事を意識した小説が書けたら良いな、と思います。