Jホラーの幽霊たち(女性編)

 ジョリーロジャーをはじめとするB級のJホラー映画が大好きです。GW中にはニコニコ生放送で『2ちゃんねるの呪い』シリーズが配信されています。これはもともと2ちゃんねるを中心にネット界隈で広まった怖い話(洒落怖など?)を元ネタにして制作されたホラー映画で、短編オムニバスのような形式になっています。ある意味では『怪談 新耳袋』の映画シリーズや、TVで毎年放映されている『本当にあった怖い話』シリーズなどと似た形式と言えるでしょう。

 ここ数年のJホラー、長編短編ともにかなりの数を見ていると、ある種の定型があることに気付きます。と言うと大げさですね。ホラー映画に限らずどんなものでもパターンはあるものですから、別に特別なことでもありません。十年単位くらいで変遷する流行とでも言いましょうか。

 

 いろいろあるんですが今回気になったのはお化けの形です。幽霊の描写とでも言うのでしょうか。最近とくに流行っているらしいのが”顔面ハニワ系”というやつです。スクリームのお面のように、目と口の部分がまん丸の暗い穴になっている顔が、画面に突然現れる……というタイプです。新耳袋のワンシーンがネットでは特に有名じゃないかと思います。体育館でバスケットボールを持ったハニワさんが「わあああ」と言いながら画面に迫ってくる、というやつ。Gifアニメにもなっていましたね。ビックリさせるタイプのお化けですが、よく見るとあれはあれで案外かわいく見えてきたりします。ミイラっぽい、と感じる人もいるかも。

 このタイプは登場した後にすぐ別の画面に切り替わってしまったり、登場自体がオチとして扱われることが多く、画面への登場時間も短いので、その習性は未知のヴェールに覆われています。

 

 2つ目は『呪怨』に出てきたような伽耶子タイプのお化けです。白いワンピースを着た、ぼうっと突っ立っている感じの、やけにはっきりと見える女性の幽霊。この場合は唐突に現れて迫ってくるというよりも、主人公が視線を感じて振り向くと遠くの方に突っ立っている……というパターンが多いように思います。『2ちゃんねるの呪い』では「ポストに変な手紙が入ってた」などに登場します。

 パッと見は異常な不審者で、なんだかボーッとしている雰囲気の人が多く見られます。総合すると画面に映っている時間が長くて、はっきり視認するのが容易であることが特徴ですが、何をしたいのかよくわからない登場の仕方が多いという欠点もあります。

 

 3つ目が『リング』の貞子タイプのお化けです。画面から出てくるってわけじゃありません。この場合は目つきです。目をカッと見開いて、顎を突き出して、わざわざ顔を上向き加減にしたりもしながら主人公を見下すように睨み付けてくる、あの目です。案外普通の格好をした人なんかが突然この表情をするパターンもありますが、この目つきをする人は髪の長い女性に多く見られます。それまで整っていた黒髪も、にらみつけるときはボサボサだったり振り乱してたりします。演出優先ですね。

 この貞子タイプの中でも、無表情タイプと笑うタイプとがあります。無表情タイプの場合は逃げても逃げてもその先に突っ立っていたりするしつこさが売りで、笑うタイプは掴みかかって来たり追いかけてきたりする物理攻撃力の高さが売りです。 ちょくちょく姿を見せる伽耶子タイプと違って、クライマックスまで姿を表さないケースがほとんどです。

 

 4つ目はゲームのサイレンシリーズに出てくる屍人のようなタイプです。『2ちゃんねるの呪い』では”きさらぎ駅”に登場します。このタイプのお化けによく見られる特徴は、普通の格好をした普通の人が、画面が切り替わると突然お化けに豹変していたりするという”変身”性です。声にエコーがかかっていたり、いやに野太い声になっていたり、口から血を垂れ流していたり、普通なら死ぬレベルの怪我を負っているように見えたりしますが、案外ふつうにコミュニケーションが取れるので、よく観察しておかないと襲われる直前まで気付かない場合が多い厄介なタイプです。

 このタイプは非常に攻撃的で、人や動物を生のまま食べたりします。群れで行動する場合がありますが、一部に仲間割れを起こす個体も見られます。基本的には夜にしか行動しません。夜行性の肉食動物と思っていればよいでしょう。

 

 この他にも男性型幽霊に多く見られるのが死んだときの怪我をそのまま再現してある”死に様”タイプ、とり憑かれてブツブツと呟き始める”根暗”タイプなどもありますが、今回は女性編ということにしてこのへんで……。